物流の適正化・生産性向上に向けた即席めん業界の自主行動計画
2023.9.28策定
2025.5.29改訂
物流の適正化・
生産性向上に向けた
即席めん業界の
自主行動計画
一般社団法人日本即席食品工業協会
効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者(運送・倉庫等)、着荷主事業者が連携・協働して、現状の改善を図るための取組を実施することが必要である。
物資の流通の効率化に関する法律政省令の施行を受けて、協会では、物流の適正化・生産性向上を目指していくことを目的として、「物流の適正化・生産性向上に向けた即席めん業界の自主行動計画」を改訂した。なお、新物効法におけるこれらの取組は努力義務ではあるものの、仕入れ物流にも関わることから、引き続き、留意が必要である。
発荷主事業者・着荷主事業者としての取組事項
1. 積載効率の向上等 (第一種荷主:発荷主)
協会会員は、発荷主として積載効率の向上等を行う時は、次に掲げる取組を行うことにより、物資の流通の効率化に関する法律(以下,「法」という)第三十七条第一項第一号に掲げる措置を講ずるものとする。
- 貨物の運送の委託の時から貨物を引き渡し、又は受け取るべき時までの間に、貨物自動車運送事業者等が他の貨物との積合せ、配送の共同化、運送の帰路における車両への貨物の積載その他の措置を講ずるために必要な時間を把握することその他の措置により、当該時間を確保する。(リードタイムの確保)
- 貨物の量の平準化を図ること、貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯の集約を図ることその他の措置により、貨物の出荷量及び入荷量の適正化を図る。
- 配車計画及び運行計画を作成する機能を有する情報処理システムの導入を行うことその他の措置により、配車計画又は運行経路の最適化を行う。
- 1から3までに掲げる取組が適切かつ円滑に行われるよう、開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理その他の貨物の運送に関係する業務に係る各部門間の連携を促進する。
① 輸送方法・輸送場所の変更による輸送距離の短縮
トラック輸送の輸送距離を短縮し、トラック運転者の拘束時間を削減するため、長距離輸送におけるモーダルシフト、幹線輸送部分と集荷配送部分の分離、集荷先・配送先の集約等に努める。
② 共同輸配送の推進等による積載率の向上
貨物の輸送単位が小さい場合には、他の荷主事業者との連携や物流事業者への積合せ輸送の実施により、積載率を向上する。
2. 積載効率の向上等 (第二種荷主:着荷主)
協会会員は、着荷主として積載効率の向上等を行う時は、次に掲げる取組を行うことより、法第三十七条第四項第二号に掲げる措置を講ずるものとする。
- 「1. 積載効率の向上等」の1から3までに掲げる取組を円滑に実施するため貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯について協議したい旨を申し出た場合にあっては、これに応じて、必要な協力を行う。
- 1に掲げる取組が適切かつ円滑に行われるよう、開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理その他の貨物の受渡しに関係する業務に係る各部門間の連携を促進する。
3. 荷待ち時間の短縮 (第一種荷主:発荷主)
協会会員は、発荷主として荷待ち時間の短縮を行う時は、次に掲げる取組を行うことにより、法第三十七条第一項第二号に掲げる措置を講ずるものとする。
- 停留場所の数その他の条件により定まる荷役をすることができる車両台数を上回り一時に多 数の貨物自動車が集貨又は配達を行うべき場所に到着しないよう、当該場所の状況を把握することその他の措置により、貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を分散させる。
- 当該第一種荷主が管理する施設において到着時刻表示装置(トラックの予約受付システム等)を導入し、及びこれを適切に活用することその他の措置により、貨物自動車の到着の日及び時刻又は時間帯を調整する。
- 当該発荷主との間で貨物に係る寄託契約を締結した者に対する寄託物の入庫又は出庫の発注を早期に行うことその他の措置により、当該者が管理する施設における貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を分散させる。
① 混雑時を避けた出荷
発・着荷主協力のもと、道路が渋滞する時間や混雑時間を避け、出荷時間を分散させる。
② 発送量の適正化
発・着荷主協力のもと、荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、日内波動や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、隔日配送化、定曜日配送化等の納品日の集約等を通じて発送量を適正化する。
③ トラックの予約受付システムの導入
荷待ち時間短縮の効果が見込まれる施設においては、トラックの予約受付システムの導入に努め、荷待ち時間を短縮する。
④ 異常気象時等の運行の中止・中断等
台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行わない。また、運転者等の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重する。
4. 荷待ち時間の短縮 (第二種荷主:着荷主)
協会会員は、着荷主として荷待ち時間の短縮を行う時は、次に掲げる取組を行うことにより、法第三十七条第四項第一号に掲げる措置を講ずるものとする。
- 停留場所の数その他の条件により定まる荷役をすることができる車両台数を上回り一時に多 数の貨物自動車が集貨又は配達を行うべき場所に到着しないよう、当該場所の状況を把握することその他の措置により、貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を分散させる。
- 当該第二種荷主が管理する施設において到着時刻表示装置を導入し、及びこれを適切に活用することその他の措置により、貨物自動車の到着の日及び時刻又は時間帯を調整する。
- 当該第二種荷主との間で貨物に係る寄託契約を締結した者に対する寄託物の入庫又は出庫の発注を早期に行うことその他の措置により、当該者が管理する施設における貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を分散させる。
① 納品リードタイムの確保
発荷主事業者や物流事業者の準備時間を確保し、輸送手段の選択肢を増やすために、発注から納品までの納品リードタイムを十分に確保するよう努める。
② 発注の適正化
荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、日内波動や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、適正量の在庫の保有、発注の大ロット化等を通じて発注を適正化する。
③ 混雑時を避けた納品
発・着荷主協力のもと、道路が渋滞する時間や混雑時間を避け、納品時間を分散させる。
④ トラックの予約受付システムの導入
トラックの予約受付システムの導入に努め、荷待ち時間を短縮する。
⑤ 異常気象時等の運行の中止・中断等
台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行わない。また、運転者等の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重する。
5. 荷役等時間の短縮 (第一種荷主:発荷主)
協会会員は、発荷主として荷役等時間の短縮を行う時は、次に掲げる取組を行うことにより、法第三十七条第一項第三号に掲げる措置を講ずるものとする。
- パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用器具を導入すること、一貫パレチゼーション(輸送、荷役又は保管の各段階において同一のパレットを使用することをいう。)の実現のために標準仕様パレット(縦1・1メートル、横1・1メートル、または縦1・0メートル、横1・2メートルのパレットをいう。)を使用すること、運転者の荷役等を省力化するための貨物の荷造りを行うこと、フォークリフト又は荷役等を行う人員を適切に配置することその他の措置により、荷役等の効率化を図る。
- 第二種荷主、倉庫業者又は貨物自動車運送事業者等に対して貨物に係る情報を事前に通知すること、貨物の品質又は数量がこれらについて定める契約の内容に適合するかどうかの検査(以下この号及び次項において「検査」という。)を効率的に実施するための機械を導入することその他の措置により、検査の効率化を図る。
- 荷役等に係る停留場所を貨物の量に応じて適正に確保することその他の措置により、荷役等を円滑に行うことができる環境を整える。
① 発荷主事業者側の施設の改善
荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等、必要な改善を実施する。
② 入出荷業務の効率化に資する機材等の配置
フォークリフト作業員待ち等の荷待ち時間が発生しないよう、適正な数のフォークリフトやフォークリフト作業員等、荷役に必要な機材・人員の配置に努める。また、入出荷業務の効率化を進めるためデジタル化・自動化・機械化に取り組む。
③ 出荷に合わせた生産・荷造り等
出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等を行い、荷役時間を短縮する。
④ 出荷情報等の事前提供
貨物を発送する場合に、物流事業者や着荷主事業者の準備時間を確保するため、出荷情報等を早期に提供する。
⑤ パレットの活用
パレットの活用に努め、荷役時間等を削減する。
⑥ 物流システムや資機材(パレット等)の標準化
物流に係るデータ・システムの仕様やパレットの規格等について標準化を推進する。パレットの活用に当たり、これからパレット化を図る荷主事業者は、協会が推奨する平面サイズ 縦1.1メートル、横1.1メートル、または縦1.0メートル、横1.2メートルのパレットの導入を検討する。
6. 荷役等時間の短縮 (第二種荷主:着荷主)
協会会員は、着荷主として荷役等時間の短縮を行う時は、次に掲げる取組を行うことにより、法第三十七条第四項第三号に掲げる措置を講ずるものとする。
- 検査を効率的に実施するための機械を導入することその他の措置により、検査の効率化を図る。
- フォークリフト又は荷役等を行う人員を適切に配置することその他の措置により、荷役等の効率化を図る。
- 荷役等に係る停留場所を貨物の量に応じて適正に確保することその他の措置により、荷役等を円滑に行うことができる環境を整える。
① 発荷主事業者側の施設の改善
荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等、必要な改善を実施する。
② 出荷に合わせた生産・荷造り等
出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等を行い、荷役時間を短縮する。
③ 出荷情報等の事前提供
貨物を発送する場合に、物流事業者や着荷主事業者の準備時間を確保するため、出荷情報 等を早期に提供する。
④ 検品の効率化・検品水準の適正化
検品方法や返品条件等の検品の効率化・検品の適正化を推進し、返品に伴う輸送や検品に伴う拘束時間を削減する。
⑤ 荷役作業時の安全対策
荷役作業を行う場合には、労働災害の発生を防止するため、安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置等の対策を講じるとともに、事故が発生した場合の損害賠償責任を明確化する。
⑥ 入出荷業務の効率化に資する機材等の配置
フォークリフト作業員待ち等の荷待ち時間が発生しないよう、適正な数のフォークリフトやフォークリフト作業員等、荷役に必要な機材・人員の配置に努める。また、入出荷業務の効率化を進めるためデジタル化・自動化・機械化に取り組む。
7. 実効性の確保
協会会員は、荷主として、「1.積載効率の向上等」から「6.荷役等時間の短縮」に規定する取組の実効性を確保するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
- 貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化(以下この条において「効率化」という。)のための取組に関する責任者の選任その他の必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、効率化のための取組に関する研修の実施その他の措置を講ずる。
- 運転者の荷待ち時間等及び運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の状況並びに効率化のために実施した取組及びその効果を適切に把握する。
- 当該荷主との間で貨物に係る寄託契約を締結した者に対し、前二条に規定する取組その他の当該者が管理する施設における荷待ち時間等の短縮のための取組に関する提案をするとともに、当該者から当該提案を受けた場合にあっては、当該提案に基づき必要な措置を講ずる。
- 物資の流通に係るデータの標準化(電磁的記録において用いられる用語、符号その他の事項を統一し、又はその相互運用性を確保することをいう。)を実施することその他の措置により、物資の流通に関する多様な主体との連携を通じた効率化のための取組の実施の円滑化を図る。
- 運送役務の内容その他の事情に応じた価格の設定をすることその他の措置により、関係事業者が貨物の運送に関する費用を把握することができるようにする。
- 国、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮すること。その際、必要に応じて取引先に対し協力を求める。
① 運送を考慮した出荷予定時刻の設定
トラック運転者が輸配送先まで適切に休憩を取りつつ運行することが可能なスケジュールが組めるよう出荷予定時刻を設定する。
② 物流コストの可視化
着荷主事業者との商取引において、基準となる物流サービス水準を明確化し、物流サービスの高低に応じて物流コスト分を上下させるメニュープライシング等の取組を実施し、物流効率に配慮した着荷主事業者の発注を促す。
③ 物流事業者との協議
運賃と料金を含む運送契約の条件に関して、物流事業者に対して積極的に協議の場を設ける。
④ 運送契約の書面化
運送契約の書面化に努める。発荷主事業者・着荷主事業者の商取引契約において、物流に過度な負担をかけているものがないか検討し、改善に努める。
⑤ 荷役作業等に係る対価
運転者が行う荷役作業等の料金を支払う者を明確化し、物流事業者に対し、当該荷役作業等に係る適正な料金を対価として支払う。
⑥ 運賃と料金の別建て契約
運送契約を締結する場合には、運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を別建てで契約することに努める。
➆ 燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映
物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合及び燃料費等の上昇分や高速道路料金等の実費を運賃・料金に反映することを求められた場合には協議に応じる。
8. 業界特性に応じた独自の取組
上記の取組に加えて、新たな課題が生じた場合には、日本即席食品工業協会の物流問題検討会等の場で十分検討し、会員の合意を得た上で対応することとする。
9. 物流管理統括者の選任
一定規模以上の協会会員(特定事業者)においては、第四十五条第一項又は第五項の規定による指定を受けた後、速やかに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる業務を統括管理する者(以下この条において「物流統括管理者」という。)を選任しなければならない。
- 第四十六条の中長期的な計画の作成
- 自らの事業に係る貨物の運送を行う運転者への負荷を低減し、及び輸送される物資の貨物自動車への過度の集中を是正するための事業の運営方針の作成及び事業の管理体制の整備に関する業務
- その他運転者の運送及び荷役等の効率化のために必要な業務として主務省令で定める業務